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2011年12月1日木曜日

「壮大な実験が始まろうとしています」大阪都構想

タイトルは古賀茂明氏の言葉です。

数日前に、大阪ダブル選挙(知事&市長)で橋下さんと大阪維新の会が圧勝しました。
これについて「大阪以外の人には関係ないと思ってる人が多いと思いますが、じつはそうじゃないんですよ」という話を、この古賀さんのコメントをトップにかかげ今日の『モーニングバード』で放送していました。
原発問題もからんで、とても興味深い内容でした。


橋下さん(大阪維新の会)が掲げる大阪都構想は、
国政がやりたくてもやれずにいることを、大阪から始めようじゃないかという話なのだそうです。
国政がやりたくてもやれずにいること」というのは、つまりこういうことです。

1 公務員改革
 (公務員優遇に使われすぎている税金をもっと国民全体の利益につなげたい)

2 電力改革
 (自然エネルギーの開発をさまたげている原発利権を健全な方向に転換したい)

3 不況対策
 (経済成長が見込めなくなっている現状を打開したい)

これらが大阪で成功すれば、他の都道府県も、国政も、あとを追う形になるだろうと。



私は大阪の人間なのですが、正直いって選挙に出かけていくときそこまでは見えていませんでしたので、この話を聞いて「すごいなぁ」「橋下さんガンバレ!」「維新の会ガンバレ!」とあらためて思いました。

◎公務員改革は、古賀さんがずっと言い続けていることですので彼もすごく注目しているようです。大阪府議会から参考意見を求められていて出席予定があると、昨日の別の番組でも言ってました。

◎電力改革は、当ブログとして一番気になる話題です。
この点、大阪には「筆頭株主」「発送電分離」という二つのポイントがあります。
大阪市は関西電力の筆頭株主で、関西電力に対し脱原発を求める権利を持っているのですが、これまで大阪市長である平松さんはその力をまったく発揮できませんでした。こういった行動力のなさが、平松さんの選挙敗退の一因です。
一方、新市長に当選した橋下さんは、株主提案権による脱原発を以前から公言しています。
古賀茂明さんが、玉川徹さん(番組のコーナーホスト)を聞き手としてわかりやすく解説していました。
K「(国としても脱原発や発送電分離のアイデアは出ているものの、それが一向に進む気配がない中で)橋下さんが、脱原発という方向性、それから発送電分離を含めた電力ビジネスにおける競争促進・コスト削減というようなことを打ち出しているんですけども、それは電力(原発を擁する電力会社)と戦うということになるんですよね。」
T「大阪市が?」
K「市が。」
T「関西電力と戦う?」
K「関西電力と直接。これは国でもほとんどの政党ができないんですね、怖くて
ようするに電力会社を敵に回すっていうのは、経済界を敵に回すということにつながるもんですから。できないで今のところ動けなくなってる。それを大阪市が先頭に立ってやってみようと。
大阪市のばあいは関西電力の筆頭株主ということで、9%ぐらい株を持っている。まあ9%ですべて動かすことはできませんが、筆頭株主という地位は非常に重いですね。」
3.11以降は原発に反対する個人株主が増えていますし(そのために電力会社の株を買い始めた人もいます)、大阪市がそういう人たちと連携すれば関西電力を動かすことができるだろうと、玉川さんが具体的な数値をあげています。
飯田哲也さん(環境エネルギー政策研究所 所長)の解説もありました。
I「(原発事故によって)実際に株主代表訴訟が東京電力に対して起こされているわけです、5兆円規模の。ですからこの事実をもってすれば、株主たる大阪市は、関西電力に対して強く迫っていく正当な権利がありますし、関西電力もそれは"単に反原発が騒いでいる"というふうにはやりすごせないと思うんですね。(橋下さんの脱原発方針は)非常に大きい影響だと思います。」
T原発を持っているということが、株主としては…
Iリスクであると。」
T「株価を落とすリスクであるという言葉を、関西電力は無視できない?」
I「無視できないですね。東京電力の実例があり、株主代表訴訟がもう起きているということですからね。」
自然エネルギー開発を促進させる発送電分離のほうは、法改正が必要になりそうです。
この件に賛成するかしないかが、今後、国会議員たちの踏み絵になるという話でした。国民は、誰がどちらにつくかしっかり見ていなければいけませんね。
関西電力で自然エネルギー推進がうまくいけば、必然的にこれが日本全国のトレンドとなるのですから、ぜひとも成功してほしいです。

◎不況対策の一つとしては、大阪府・大阪市間で長いあいだ大きな争点になっていた水道事業が、民営化と海外展開によって最終的に関西の税収増加を見込めるという話でした。
こちらもまた、とても面白く元気の出てくる内容でしたが、ブログの主旨から外れてしまいますのでここでは省きます。



コーナー最後の、赤江さんと玉川さんの言葉は私の思いの代弁でもありました。
A「打開策のアイデアを出さない政治家は、いま求められてないんじゃないかなという気がしますね。」
T「我々は政治家を利用すればいいんですよ。
こういうふうに変えたいってときは、この力を使えばいい。で、変なこと言い出したら止めさせればいいだけの話ですから。」
橋下さんはときどき危なっかしげなことをおっしゃるものですから、反対勢力から「独裁者」なんて言われたりしますけど、大阪府民が(なんのアイデアも出さない候補者よりも)橋下さんを支持した理由は、まさにここにあるのです。



─ 追記 2011/12/14 ─

昨日17時台のニュース番組『かんさい情報ネットten!』に、橋下さんが生出演して大阪都構想を含む今後の方針について語っていました。

行政は今、大阪市も、霞ヶ関も、改革しようと思っても、利権を守るシステムのせいで身動きとれないといいます。
だから、何をどう改革するにしても、まずは「行政から既得権を切り離すことで、改革可能な"システム"に作り替えなきゃいけない」という、橋下さんのお話でした。
(脱原発が、世論の7~9割を占めているにもかかわらず、ちっとも進まないのもそのせいですよね。古賀さんがおっしゃっていることと同じです。)
司会者もパネラーも、そんな橋下さんを「応援してますよ」という空気に。

でもこれ、読売のチャンネルです。
私の中では、このブログを始めてからいろいろ勉強したおかげで、

 読売=「歴史的に由緒正しい原発推進派」

 読売=「出るクイを打つ渡邉恒雄氏」

 読売=「改革よりも現状維持に熱心

というようなイメージができあがっています。
そんな読売のニュース番組が、「改革」と「脱原発」をかかげる橋下さんに肯定的というのは、不思議な光景でした。
しかも、橋下さんのお話を聞くあいまには、関西電力の「節電のお願い」と、総務省の怪しい収入源「年末ジャンボ宝くじ」のコマーシャルが流れてるんですもの。
状況の異様さにドキドキしてしまいましたよ。

チャンネルをそのままにしていたら、全国ネットのニュースになって「橋下氏が大阪市長選挙後初の生出演」という報道が始まりました。
あらまぁそんなことがニュース扱いなの?と思ったら、わざわざ橋下さんの「戦で解決」なんていう言葉をサブタイトルとしてずっと画面に出し続け、せっかくの橋下さんの前向きな改革案が霞んでいました。まるで「勢いがあるだけで、ちっとも協調性のない人物」というイメージを刷り込みたがってるみたい…。
そういえば、橋下さんは、生放送の最後に「戦で解決」について司会者さんから念を押されて、何度も言わされてましたっけ。
文脈としては「大阪の行政改革に必要な法改正の協力を得るため、今、国会議員の全員にお願いに回ってます。それで、もし、賛成者が足りなければ、国会の選挙に打って出ることになるだろう」ということで、その選挙戦が「戦」と呼ばれただけなのですが。
あの司会者さんには、「マイナスイメージの単語を一つでいいから強調するように」という社命が下されていたのでしょうか。
そしてそれが全国ネットのニュースに利用されたということでしょうか。
やっぱり読売は読売ねというオチでした。




※出典・参照(2012/04/16更新)

 [2011/12/01 モーニングバード そもそも総研たまペディア 
そもそも橋下圧勝でこれから日本で何が起ころうとしているのか!]

・関連ニュース

 関西電力の株
 [2011/11/27 23:43 日経 橋下氏「原発依存度下げるため、関電に株主提案」]
 [2011/06/29 12:23 読売 平松市長の関電総会出席に橋下知事がツイート]

 東京電力の株
 [2011/06/29 マガジン9 おしどりマコ・ケンの「脱ってみる?」

「脱原発裁判&脱原発株主総会」 東電株主の9割が脱原発を請求したのに、結果は否決]

 橋下市長 vs 渡辺恒雄氏
 [2012/03/18 20:27 毎日新聞 橋下市長:ツイッターで「渡辺恒雄氏の方が独裁」と批判]


・当ブログ内の関連記事
 [2011/06/10 大阪府知事と関西電力]
 [2011/12/01 「壮大な実験が始まろうとしています」大阪都構想]
 [2012/04/05 大阪の脱原発]
 [2012/04/16 きなくさい大飯原発]


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