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2012年4月25日水曜日

食品基準値は厳しすぎるか?

食品の放射能基準について農林水産省が、民間の「厳しすぎる独自基準」に自粛を呼びかけました。
「そんなの、おかしい」という声がネットやテレビなどで上がり、鹿野道彦農水相が「強制力はなく、(民間の)いろいろな取り組みを否定するものではない」との言い訳コメントを出しました。

食べる側にとって、基準は厳しければ厳しいほど助かります。
けれども、生産者さんたちにとって、本当にこれは苦しいお話だと思います。手をかけて育てたものが、あるいは愛してやまない土地や海の産物が、毒物あつかいになってしまう…、どんなに悔しく悲しい思いでしょうか。


むずかしいのは、
「安全」だと考えている人にとっては「安全」だし、
「危険」だと考えている人にとっては「危険」で、
どちらも嘘ではないということです。
千人に一人とか、万人に一人とか、そういうわりあいで体調不良や病死を引き起こすような食べ物を、気にするか気にしないか、という問題なのです。

私は気にするほうです。
だって、発病の確率が低ければ自分は関係ないかというと、けっしてそうではないから…。
千人に一人とか、万人に一人というような病気の友人知人は、身近に何人もいますもの。
バセドウ病、全身性エリテマトーデス、ダウン症、etc。
べつに医療関係の仕事をしてきたわけでもなく、普通に生活していてあちらに一人こちらに一人と、こういった病名を知るご縁がありました。
「ということは、今後、原発事故によるガンや白血病・心臓病が身近に数人現れることになるんだろうな…」という不安が私にはあります。

それだけに、(我が身だけなら国の基準値でかまわないんですけれども)子供たちには限りなくゼロベクレルに近いものを食べさせたい。


じつは、原発事故がなくても、核実験がなくても、人間は通常の食事で毎日100ベクレルの放射性カリウムを食べているそうです。
「だから、ゼロベクレルを求めるのは無意味だ。放射性セシウムが増えたって気にする必要ない」という説もあるのですが。
カリウムが減って、セシウムが増えるのなら、そういう理屈もありでしょう。

けれども日常の食事からカリウムを減らすわけにはいかず、そのうえにセシウムを積み重ねているんですよね?
感覚的には、二割増していどなら「まあいいか…」と思えますけど、カリウムに加えてセシウムも同じベクレル量を食べなさいよとなるのは正直「気持ち悪い」です。
たとえるなら、手づかみで食べるときに、本を読んだ手で食べるか、土いじりしていた手で食べるかぐらいの差。「土を食べても死んだりしないから、手を洗わずに食べなさい」なんて言われたって、「なるほど!」って言うことを聞く日本人が、どれだけいるでしょう。お腹の弱い人ほど反論しますよ。それと同じ状況かと思います。
しかも放射性セシウム1ベクレルの影響力は、放射性カリウム2ベクレルに等しいとされています。わかりやすく言うと「セシウムは発ガン性が二倍なんだから、カリウムと同じ扱いしちゃダメでしょ」という感じになるでしょうか。
※参考追記 経口摂取時の被曝量
カリウム 40=0.0062μSv/Bq
セシウム134=0.019 μSv/Bq
セシウム137=0.013 μSv/Bq
さらに、セシウムだけでなく、計測できない放射性ストロンチウムの問題もあって、こちらはセシウムのような体外排出がされにくいときています。
ほかにも、わずかな量とはいえ、自然界に存在しなかったような放射性物質が原発事故によってまき散らされているのです。
いろいろ考え合わせていくと、「注意するにこしたことはない」この一言につきるんじゃないでしょうか。

若い世代には、大事をとって「できうるかぎりゼロベクレルに近づけよう」、これが人道的にも科学的にも自然な考え方かと思います。



─ 追記 2012/05/20 ─

セシウムの嫌悪感を、上記では土いじりした手で食事する感覚に例えましたが、ふと、 「お風呂の湯温に例えたらどうなるのかな」と思いました。

> じつは、原発事故がなくても、核実験がなくても、人間は通常の食事で毎日100ベクレルの放射性カリウムを食べているそうです。
> 「だから、ゼロベクレルを求めるのは無意味だ。放射性セシウムが増えたって気にする必要ない」という説もあるのですが。

お風呂のお湯は通常39~42℃です。
「だから40℃増えて80℃になったって気にする必要ない」でしょうか?
そんな理屈はありえないなぁと考えたら、私はセシウムを許容しすぎていたかもと思えてきます。

実際のセシウム値としては、市場に出回っている食品のほとんどがND(検出限界値以下)です。ときどきは、
お米16.1ベクレル(2011年11月25日 福島県産)とか、
サバ17.1ベクレル(2012年5月15日 神奈川県産)とか、
牛肉49.5ベクレル(2012年5月16日 岩手県産)とか、
タケノコ84ベクレル(2012年4月24日 栃木県)なんていうのがあったり、
たまに、
ワカサギ426ベクレル(2012年3月28日 群馬県産)とか、
シイタケが960ベクレル(2012年4月5日 茨城県産)もあって出荷停止になったり、
そんなかんじです。

この状況をお風呂に例えると…
毎日40℃の湯船に浸かっているつもりが、たまに60℃になってたりするのかな…。
1kgあたり49.5ベクレルの牛肉300gステーキと、1kgあたり84ベクレルのタケノコ100g食べたばあいを、むりやり湯温に換算してみました。
通常湯温40℃+{(49.5Bq×300/1000g+84Bq×100/1000g)÷平常時食品100Bq×カリウムとのシーベルト比2×通常湯温40℃}=58.6℃
カリウムとのシーベルト比は、セシウム137なら2倍ですがセシウム134なら3倍です。3倍として計算すると、さらに10℃ぐらい上がります。

60℃のお湯って、死ぬことはないけど、熱いですよね…。
肌も傷みますよね、低温火傷のレベルだし…。
平気な人は平気なのかな…?
一日ですめば良いけど、うっかり連日になったら体調崩しそうだな…。




※出典・参考(2012/05/20更新)

・ニュース
 [2012/04/21 08:53 朝日 食品の放射能検査「独自基準やめて」 農水省が通知]
 [2012/04/23 13:00 オトナの会社設立 国より厳しい放射線基準を使うな!-農林水産省が民間業界団体に通知!]
 [2012/04/23 14:44 MSN産経「取り組みを否定するものではない」 食品の検査基準めぐる通知で鹿野農水相]
 [2012/04/23 17:48 MSN産経 スーパー業界、放射能検査の基準値は各社判断で]
 [2012/04/23 23:37 朝日 食品の放射能独自基準「否定はしない」 農水相]


・放射性カリウムについて
 [2011/03/14 天然放射能と人工放射能は違う!3 YouTube動画15分 (3分48秒~9分が
カリウム40の話)]
 [2011/06/23 天然放射能と人工放射能は違う!3 文字書き起こし]
 [2011/09/11 天然放射能と人工放射能は違う! YouTube動画7分16秒 (カリウム40の話)]
 [2011/06/23 Cafe Berkeley カリウム40の放射能]


・カリウム・セシウム・ストロンチウムの「ベクレル/シーベルト換算」
 [2011/06/20 関東 放射線対策情報 まとめ 

 [みかげのページ 放射線・放射線測定器のメモ 

・食品のセシウム値
 [2012/04~ 放射能検出データまとめ]
 [2012/04/03 20:49 MSN産経ニュース 群馬のワカサギから新基準値超のセシウム検出]
 [2012/04/05 16:06 MSN産経ニュース 茨城でも原木シイタケ、タケノコで新基準値超え]


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 [2011/03/28 放射能は怖いか怖くないか]
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 [2011/05/12 お茶から放射性物質]
 [2011/06/04 お茶から放射性物質 2]
 [2011/07/13 セシウム牛肉騒動 食品・その他の原発事故汚染報道 リンク集]
 [2011/07/20 セシウム牛肉騒動 2]
 [2011/08/05 お米と放射性物質]
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 [2011/12/08 粉ミルクのセシウム]
 [2011/10/27 暫定基準値の見直し開始 内部被曝を減らす方法 リンク集]
 [2012/02/25 食品基準値の見直し...お米と牛肉はそのまま]
 [2012/04/25 食品基準値は厳しすぎるか?]

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